ここ数年で、不動産の査定方法は大きく変わりました。
スマートフォンで住所を入力すれば、数秒でおおよその価格が出てくるAI査定がすっかり当たり前になったことで、「相場は自分でも分かる」と感じるかもしれません。
ただ、便利さと引き換えに「誤った価格」を信じてしまい、売却が長引いてしまう、なんてことも。
AIが浸透しきった今だからこそ、もう一度“適正価格”について知っておく必要があります。
この記事では、AI査定を否定するのではなく、上手に使うための視点や、2025年の市場背景を踏まえた価格判断のポイントをお伝えします。

目次
AI査定はどうやって価格を出しているのか
AI査定は、過去の取引事例や周辺の売出しデータ、土地や建物の基本情報をもとに、統計的に価格を算出しています。
仕組み自体は合理的ですが、次のような点は反映しづらいのが実際です。
・建物の傷み具合や修繕履歴
・市道未認定、接道条件などの細かい法令面
・日当たり・騒音・周辺環境の変化
・近年の細かな価格下落
つまり、AIは“データから読み取れる部分の価格”を提示してくれている一方で、現地でしか分からない要素は加味されていないことが多いということです。
2025年になって増えている「AI査定のズレ」
2025年の査定で特に気を付けたいのは、数年前の高値傾向を一部引きずりやすい点です。
2022〜2023年頃の成約事例は全国的に高い水準でした。
そのため、AIによっては古い事例が平均値を押し上げ、実際の2025年の相場よりも高い数字が出ることがあります。
さらに、
・事例数が少ないエリアでは精度が落ちやすい
・中古戸建はコンディション差が大きいため、価格のブレが特に広い
・土地は個別性が強く、形状や接道のクセが反映されづらい
といった理由で、“実際に市場が求めている価格とAI査定の価格がズレる”ケースが発生しています。
価格がズレると起きること
実際の市場に見合わないズレたAI査定の価格で売り出すとどうなるか
・売れ残り
・値下げ
・売却期間の長期化
この流れに入ってしまうと、結局「当初の AI査定額よりも低い価格での成約」になることもあります。
適正価格を間違えることは、売主側にとって想像以上に大きな影響があるのです。
AI査定は“入口としては便利”。ただし最終判断には人の確認が必須
ここまで読むとAI査定が良くないように見えますが、決してそうではありません。
むしろ、最初に相場感をつかむツールとしては非常に優秀です。
大切なのは、AI査定を「最終判断の基準」にしないこと。
2025年の市場は、地域差や物件差が以前より大きくなっています。
だからこそ、現地の状況・最新の成約事例・行政情報を組み合わせた“手動の査定”が欠かせません。
AIの数字を参考にしつつ、
「本当にその価格で売れるのか?」
「売却期間はどれくらいか?」
「買い手のローン評価はどうか?」
この部分は、どうしても人の目と経験、直近での売却実績が必要になります。
まとめ:AIが普及した今こそ、価格設定の精度が売却成功を左右する
AI査定は便利でスピーディー。相場感の第一歩としては最適です。
しかし、2025年の市場では、AIだけで価格を決めるのはリスクが大きくなっています。
・近年の価格変動が複雑
・市街地と地方で動きが異なる
・建物の個別性が価格に大きく影響する
こうした理由から、最終的には「人の判断」を取り入れた査定が、結果としてもっとも早く・高く売る近道になります。
もし、「どの価格が正しいのか分からない」「AIの数字とどれくらい差があるのか知りたい」などありましたら、一度ご相談ください。
現地を確認した上で、今の市場で“実際に売れる価格”をお伝えします。