
相続した物件について査定を受けたとき、「思っていたより安いな……」と感じたことはありませんか。
周囲から聞いていた相場や、なんとなく想像していた金額との差に、正直ショックを受けた、という方も少なくないと思います。
そしてその結果、「この価格なら、今は売らずに持っておこうかな」そんな選択肢を考え始める方も多いのではないでしょうか。
自分が所有者である以上、売る・売らないを判断するのは当然の権利です。
今は売らない、という選択自体が間違っているわけではありません。
ただ、「売らない」と判断するのであれば、もう一つ確認しておいた方がいいことがあります。
それは、次にこの不動産を相続する子どもが、その不動産を持ちたいと考えているのか、という点です。
その不動産は、いずれ子どもが引き継ぐ可能性のあるものでもあります。
・将来、その不動産を自分のものとして受け取るつもりがあるのか
・管理や維持を含めて引き継ぐことを想定しているのか
こうした点を確認しないまま「自分の代では売らない」と決めてしまうと、判断だけが次の世代に引き継がれることになります。
結果として、親がなぜ売らなかったのか分からないまま相続し、そこから改めて判断を迫られるケースも少なくありません。
だからこそ大切なのは、売るか売らないかを今すぐ決めることではなく、今の判断について子どもの意志を一度確認しておくことです。
自分はこう考えている。だから今は売らないつもりでいる。それについてどう思うか。
この共有があるだけで、次の相続に対する負担は大きく変わります。
人口減少が進む中で、都市部を除けば、今後不動産価格が大きく上昇していく可能性は限りなく低いと言えます。
横ばいで推移すればまだ良い方で、地域によっては価格が下がり続けることも十分に考えられます。
査定額が予想や希望と異なっていたとしても、どこかで判断をしなければならないタイミングは必ず訪れます。
売らないという選択をするのであれば、それが自分一人の判断で終わらないように、次に引き継ぐ人の意志も含めて考えておく。
それが、将来の相続を少しでも穏やかなものにするための準備ではないでしょうか。
年末年始は、家族が集まりやすく、こうした話を切り出しやすい時期でもあります。
結論を出す必要はありませんが、今どう考えているのかを共有し、次に引き継ぐ人の意志を一度聞いてみるだけでも、十分に意味のある時間になるはずです。