2025年12月19日、政府与党は「令和8年度税制改正大綱」を決定しました。今回の改正では、子育て世帯等への住宅ローン減税の延長・拡充が盛り込まれ、住宅市場全体に大きな影響を与える内容となっています。
本記事では、不動産売主の立場から見た重要ポイントと、今後の売却戦略への活かし方を分かりやすく解説します。
子育て世帯向け住宅ローン減税が拡充
今回の改正で特に注目されるのが、子育て世帯等への支援強化です。
既存住宅のうち、省エネ性能の高い「認定住宅」や「ZEH水準省エネ住宅」については、住宅ローン減税の借入限度額が引き上げられます。
さらに、これまで新築中心だった上乗せ措置の対象が、省エネ基準適合以上の既存住宅にも拡充されました。控除期間も13年間に延長され、省エネ性能の高い中古住宅を購入するメリットが一段と高まります。
👉 売主側のポイント
省エネ性能を満たす既存住宅は、今後さらに「選ばれやすい物件」になります。売却前に省エネ性能の確認や資料整備を行うことで、訴求力が高まるでしょう。
省エネ基準適合住宅は将来的に縮小へ
一方で注意したいのが、省エネ基準適合住宅の扱いの変更です。
令和12年度以降、新築での適用が認められなくなる予定であり、令和10年以降は新築住宅について住宅ローン減税の対象外となります。
既存住宅についても借入限度額の見直しが行われるため、将来的には「省エネ性能の差」が価格や流通性により大きく影響すると考えられます。
👉 売主側のポイント
省エネ性能が低い住宅は、早めの売却や価格戦略の見直しが重要になります。
床面積要件の緩和で中古住宅が有利に
世帯規模の変化を背景に、住宅ローン減税の床面積要件(40㎡以上)の特例が既存住宅にも拡充されました。
これにより、比較的コンパクトな中古マンションや戸建てでも、子育て世帯等が購入しやすくなります。
👉 売主側のポイント
これまで敬遠されがちだった小規模物件でも、購入層が広がる可能性があります。
低未利用土地の特別控除も延長
加えて、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得100万円特別控除の適用期間が3年延長されました。
使っていない土地や相続後に放置している土地を売却する売主にとっては、大きなメリットです。
まとめ|税制改正は「売却の追い風」にもなる
今回の税制改正大綱は、
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省エネ性能の高い既存住宅
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子育て世帯が購入しやすい住宅
にとって、明確な追い風となります。
不動産売却を検討している方は、
✔ 自分の物件がどの制度に該当するか
✔ 今売るべきか、待つべきか
を専門家と確認することが重要です。
税制を正しく理解し、戦略的に売却することが成功の鍵となるでしょう。